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11月

コーポレートガバナンス

Corporate Governance

会社統治や企業統治と訳され、企業が社会や個人のために、どのような活動の方向にあるべきかを示す考え方。

企業の運営や活動は、株主をはじめとして、顧客、従業員、取引先、金融機関など、多くの利害関係者(ステークホルダー)によって成り立っている。そのため、経営者の勝手な暴走を許さないようにするために、相互の利害関係を円滑に調整しながら経営を方向付けていく必要がある。その考え方として、コーポレートガバナンスという用語が提唱された。


資本主義における経済活動において株式会社という組織は大きな地位を占め、その活動は株式会社の真の所有者である株主や消費者、従業員、取引先、系列会社、銀行、広義には地元の市民など社会全般に大きな影響を与える。特に近年では企業の巨大化および多国籍化が進行しているためその影響力が範囲に及びため企業の適切で健全は運用は近代社会の発展における大きな課題の一つとなっている。

企業の統治において特に問題となるのはその数において分散および分断されている投資家や他の利害関係者(ステークホルダー)に対して、実際に企業を運営しその内容の実情を直接に知っている経営陣が強い立場にあることで、そのため前者にとってその正当な権利の主張およびその行使が非常に難しいという構造上の問題が存在することである。さらにその問題を複雑にするのは前述の利害関係者の目的は多くの場合に相反することである。例えば株主としては会社の利益の最大化が最も望ましいが、営利のみが企業の運営目的となれば、消費者や労働者や取引先、さらには地元周辺の住民の権利および福祉が損なわれることになる。また株主は株価の上昇を求め短期のリスクの高い経営方針を求めるが銀行側や取引先としては融資の安全性を第一とするためリスクが低く場合によっては成長性の低い経営方針の採用を求めることが考えられる。さらには経営陣としては企業の拡大によるポストの拡大や報酬の上昇さらには競合企業にたいする対抗意識などから拡大政策を追求することも考えられるが、これが利益無き拡大の追求となる可能性がある。さらに社長や会長が絶大な権力を握ってしまった場合は会社の運営が一個人の独断で行われ、誤った経営判断に対する責任の明確化およびその修正が行われないだけでなく、個人の私欲を肥やすためだけの経営が行われかねない。また社外の人間は会社の運営に直接にかかわらないため会社の内情や実情の情報の提供を経営陣に依存することになる。この「情報の非対称性」が経営陣外の利害関係者の権利行使の障害となるだけでなく場合によっては経営側の背任の温床ともなりうる。このような組織上の根本的な問題や矛盾を最小化し企業が株主および他の利害関係者の要求を満たしながら経済および社会の発展に貢献するように運営されることを目指すのが企業統治の意義である。

1960年代のアメリカで、企業の非倫理的・非人道的な行動を抑止すべきであるという文脈で用いられるようになり、次第に粉飾決算など投資家から見た企業不祥事を防ぐためにどうするかという意味でも使われるようになった。さらに、企業価値・株主価値を増大させるためにいかに企業組織を構築するかという意味も加わるようになった。1980年代から1990年代のアメリカでは、企業買収が進んだことや、機関投資家の発言力が強まったことにより、コーポレート・ガバナンスへの関心が高まった。1990年代以降は、ヨーロッパ諸国や日本でも、多数の企業不祥事が発覚するとともに、経済的な停滞が続く中、コーポレート・ガバナンスが注目されるようになった。

現在、コーポレート・ガバナンスの目的は、

(1)企業不祥事を防ぐということと、

(2)企業の収益力を強化することという2点にあるとされている。

また、それらを社会全体の視点から見た議論と、投資家の視点から見た議論がある。

そして、そのために、様々な法制度、組織内の制度、またインフォーマルな慣行が設けられている。それらを性質によって大きく分けると、トップ・マネジメント組織を通じて行われる組織型コーポレート・ガバナンス、証券市場を通じて行われる市場型コーポレート・ガバナンス、そして経営者に対し経済的インセンティブを付与する方法がある。

しかし、このようなコーポレート・ガバナンスのための諸制度・慣行を設計し、実施する上では、株主、債権者、従業員などといった様々な利害関係者(ステークホルダー)の利害が衝突する場面がある。例えば、企業買収によって新たな株主が経営者を交代させることができるというのは、重要な市場型コーポレート・ガバナンスの制度であるが、自分たちが会社を所有していると考える従業員らからは反発を招くことがある。そこで、誰がコーポレート・ガバナンスの主権者かという問題が生まれる。これは、「会社は誰のものか」という問いとも置き換えられ、多くの議論を呼んでいる。

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